若見ありさ(東京造形大学特任教授)

アニメーション作家。コマ撮りアニメーションから手描きアニメーションなどを制作し、近年はガラス台を使用した砂絵アニメーションや切り絵を制作。制作以外にもアニメーションの上映会、講演やワークショップの企画やコーディネートなどを行う。日本アニメーション協会理事、国際アニメーションフィルム協会日本支部会員、日本アニメーション学会会員、日本映像学会会員。岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)卒業後女子美術大学メディアアート学科専任助手・東京藝術大学大学院 映像研究科アニメーション専攻教育研究助手を経て、女子美術大学アート&デザイン表現学科 メディア表現領域、名古屋造形大学アニメーションクラス非常勤講師。現在、東京造形大学特任教授
*写真は学生当時


Q.1 アニメーション制作を志したきっかけについて

学生時代に最初は写真を専攻していて「標本された虫は物なのか?人間は死んだら物になるのか?」と言うテーマでマネキンの中に1人生身の人間が混じって転がっている。というような生物と静物の境界を問うような写真作品を制作していたのですが、その逆で静物を生物のように動かしてみたい。とはじめたのがアニメーションです。
その後は飯村隆彦先生のゼミで実写とアニメーションが混在する実験映像を制作していました。飯村さんの影響でオノ・ヨーコやナム・ジュン・パイク、ジョナス・メカス、スタン・ブラッケージ、久里洋二、ブラザーズ・クエイなどの作品を観ました。
特に萩原朔実さんの著書「時間を生け捕る」にはかなり影響を受け、時間経過(成長・劣化・変化)を記録する事によってアニメーションになりうることを知ったのもコマ撮りアニメーションに取り憑かれた要因でもあります。

Q.2 出身校を選択した理由は? *IAMAS出身

制作中に刺が指に刺さり保健室に行った時に保健の先生にイアマスを進められました。
飯村隆彦先生に相談したところ、今後アニメーションを続けたいならコンピューターは避けて通れない。と言われたので修行するつもりで行く事にしました。

Q3. 在学中に頑張っていたことは?

作品を作っても発表する場が無いと意味が無いので上映会の企画や運営に力を入れていました。あと、他大学の映画研究会を自分の足でまわって多くの人と一緒にお酒を飲んで知り合いになる事。映画を1本でも多く観る事。

Q4. 学生当時の作品について 

「腹上詩」人間の様々な欲望を撮影し、腹の上に映写する映像インスタレーション。
当時はアニメーションをがっつりやるというよりは映像インスタレーションを制作していました。そして主に8mmフィルムで制作していました。なぜなら当時大学にあった設備がリニア編集だったため映像は編集すればするほど劣化したからです。
フィルムは端と端をつなぐとループになるし1コマコマ調整でき直接書き込めるので、撮影する際の露出さえ間違えなければ色合いといいとても好みのメディアです。

Q5. アニメーションを指導する教員として心がけていることは?

命を吹き込む魔法を体感してもらう事。

Q6. 昨今の学生アニメーションについて思うことは?

今は簡単に作れる分難しい時代だと思いますが、素晴らしい作品もたくさん出てきていると思います。なにかしら自分なりの使命感を意識して制作すると厚みと深みがより反映されると思います。

Q7. 現在のご自身の研究や創作について

現在制作しているのは進行中なのでまだ書けませんがいつもどこかに女と子どもといのちがテーマにあります。

Q8. 学生や、アニメーション制作を目指す人へのメッセージをお願いします。

先生と学校を利用して、自分で調べて本や人から学んで、信じる道を突き進むと良いと思います。卒業したら誰も面倒はみてくれませんから、自分で自分の面倒みれるようになる研修期間として大学を活用してほしいと思います。