学生アニメーションの最前線、インター・カレッジ・アニメーション・フェスティバル(ICAF)。18回目を迎える今回は「あたりまえを問いなおす」をテーマとして掲げます。
新型コロナウィルスのパンデミックにより世界は短期間のうちに激変してしまいました。数多くの尊い命が失われ、都市封鎖により経済活動は停滞し、学校も閉鎖されました。「あたりまえ」の日常が崩れ、学校や授業、入学式や卒業式、会うこと・話すこと・食べること…等々、あらゆることの意味を根本から考えさせられる日々が続いています。こうした喪失の経験は悲劇としか言いようがありませんが、それをただ悲観していても何も始まりません。むしろ私たちの「あたりまえを問いなおす」機会として捉え、ポジティブに社会を変えるきっかけにしていくべきではないでしょうか?
ICAFもまた、20年近い歴史の中で回を重ねるごとに様々な「あたりまえ」が形づくられてきました。今回のICAF2020では、そうした「あたりまえ」を根本から問い直し、この危機的状況だからこそ出来る、新しい形のフェスティバルを目指したいと考えています。具体的には、まずICAFという「場」のありかたを見直し、これまで「あたりまえ」だったフェスティバル会場の自由なありかたの一つとして、「オンライン開催」に挑戦します。国立新美術館というリアルな「場」を一拠点としつつ、全国各地(ひいては世界中)からアクセスできるネット上の「場」の特性を最大限活かした、新しいICAFのありかたを提案できればと考えています。
当面はまだ予断を許さぬ状況が続くことが予想されますが、是非、今年も引き続き全国各地の学校の皆さまにご参加・ご支援頂き、共に私たちの「あたりまえ」を見直しながら、少しでも前向きな未来を作っていくことが出来れば幸いです。
ICAF 2020 フェスティバルディレクター
布山タルト(東京藝術大学大学院映像研究科)