ICAF実行委員会は、幹事校5校のアニメーション教育に携わる先生で組織されています。
そんな先生たちにも学生時代がありました。
先生方が自らを振り返りながら、今の学生へ贈る言葉です。
(*内容は掲載当時のものです)


小柳貴衛/東京工芸大学アニメーション学科准教授

2003年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。
制作会社を経て、現在は東京工芸大学アニメーション学科にて教育に携わる傍らでテレビ・プロモーションビデオ・CM等のアニメーションパートや背景画を制作し、アニメーションワークショップの企画・運営も行ってきました。


Q:アニメーション制作を志したきっかけについて

当時は個人ベースで映像・アニメーション制作がちょっと勉強すれば始められる本当に初期の時代でした。
イラストレーションやデザインをPCを使用して制作する延長線上で、アニメーションに興味を持ちました。
それと3年次から受講した片山雅博先生の授業の影響が多分にあります。

Q:出身校を選択した理由は? *多摩美術大学出身

憧れていた先輩や好きなクリエイターを多く卒業生として輩出している出身校へ入学しました。
あとは単純に絵が好きでたくさん描けそうだし、そういう学生が多そうな印象があったので。
もともとはファインアート系の学科を志望していました。

Q:在学中に頑張っていたことは?

勉学と制作をがんばっていました。講評日の朝に大学が開く前から入り口で待っていて上級生にあきれられたり今思えばまじめでしたね。
あとはアルバイトで稼いだお金で値段の高い絵の具を買ったり、操作もできないソフトや機材を買ったりしてあがいたあげく結局使えずだいぶ損しました。(もちろん有益なこともありますが。)
でも自分で稼いだお金を作品にかけることは大事で、その過程である程度の損出を出すことはやむを得ないことだと思います。

Q:学生当時の作品について

初めてのアニメーション制作は大学2年生の時で(課題制作)、その時はdirectorというソフトを使って制作しましたが、同じ講評の時に、今でもメジャーなafter effectsを使って制作している同級生がいて、同じ課題で卒業生の作品にあるようなエフェクト(モーションブラー)をつけていて衝撃的でした。
自分も絵にモーションブラーをかけたい!と思って独学し、ある程度使えるようになりました。
その後課題では2作品、自主制作で1作品、卒業制作で1作品作りました。

Q:ご自身とICAFについて

 
ICAFには第一回と第二回目に選出していただき一回目は自主制作の「Infinity Planet」(画像左/上)という作品、二回目は卒業制作の「verdure」(画像右/下)という作品を出品させていただきました。
特に印象的な第一回ICAFは2002年の5月、恵比寿の東京都写真美術館で行われ、自分の作品を公的な場で初めて流していただき感激しました。あこがれの先輩達と同じプログラムで作品が上映され、片山先生には似顔絵を描いていただき(当時のプログラムパンフレットで、我が校は各制作者プロフィールに顔写真ではなく先生が描いた制作者の似顔絵を載せていました。)就職活動時期の一時のオアシスでした。


ICAF2003登壇時

Q:アニメーションを指導する教員として心がけていることは?

物事の本質をとらえてほしいし、そういう思考をより学生と共有できるよう自分も勉強をしていきたいと思っています。

Q:昨今の学生アニメーションについて思うことは?

自分が学生の時よりもいろいろな意味で環境が良くなったので、すごくうまい作品が多いと思います。作りたいと思う情熱を是非大事にしてください。学生の時にしか持てないテンションもあるかと思います。

Q:現在のご自身の研究や創作について

卒業してそれなりに時間がたち、そこそこいろいろなことを経験したあげく知りたいことがますます増えてきました。活動としてはワークショップを行ったり、日々スケッチをして色のサンプルを集めたりしています。少したまってきたら展示や作品制作につなげていきたいと思っています。

Q:学生や、アニメーション制作を目指す人へのメッセージをお願いします。

制作のことに限らず、沢山いろいろなことを経験し、視野を広げてください。
学生時代はあっという間です。