ICAF実行委員会は、幹事校5校のアニメーション教育に携わる先生で組織されています。
そんな先生たちにも学生時代がありました。
先生方が自らを振り返りながら、今の学生へ贈る言葉です。
(*内容は掲載当時のものです)


野村辰寿/多摩美術大学グラフィックデザイン学科教授

アニメーション作家/多摩美術大学グラフィックデザイン学科 教授。
1964年三重県出身。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業、1987年、株式会社ロボットに入社。CMディレクターとして活動後、フジテレビ『ストレイシープ』をきっかけに、NHKプチプチアニメ『ジャム・ザ・ハウスネイル』『ネコのさくせん』テレビアニメシリーズ『ななみちゃん』など、さまざまな手法のオリジナル・アニメーション作品を手がける。オリジナル作品や、CM、テレビ番組、Web、絵本、イラストレーション、展示映像など幅広く活動中。
日本アニメーション協会常任理事。

*写真は学生当時


Q:アニメーション制作を志したきっかけについて

浪人時代に日仏会館でユーリ・ノルシュテインの作品群を観て、アニメーションの豊かさ、奥深さ、表現力、可能性に打ちのめされたからです。

Q:出身校を選択した理由は? *多摩美術大学出身

ファインアートではなく、食べて行ける可能性の高い商業美術であるデザイン系〜
その中でも平面的なものに興味が有り、多摩美のデザイン科グラフィックデザイン専攻(今と名称若干違います)に決めました。

Q:在学中に頑張っていたことは?

八王子の小さな川に脇にある下宿を「studio KAWAZOI」と称して、8mmフィルム(卒制は16mm)でアニメーションや短編映画の自主制作や友人の映像作品の制作協力に励んでおりました。それ以外はCMなどの美術造形のアルバイトに明け暮れておりました。

Q:学生当時の作品について


『1 1/2円玉事件』…サイレントで綴る少年時代の小さな事件をモチーフにした処女作。
ザラザラの筆致が残るようなタッチの作画を切り抜いて背景に直貼りして撮影。


『お・や・す・み〜日本一悲しい歌』…敬愛する原マスミさんの同名曲に絵をつけた作品。友人イノダイノヲくんの画を使い、リピート&リミテッドの手法でみんなのうた風に制作。


『TV-UO(テレビウオ)』…初めて16mmフィルムに挑戦した卒業制作。
同級生のかわむらふゆみさんにキャラクターデザイン依頼し共同制作した作品。とか作っておりました。今の学生作品に比べると痛々しいほど、拙いです。

Q:アニメーションを指導する教員として心がけていることは?

オリジナリティある自分独自の絵の世界を押し出す!枚数がクオリティに直結するのでとにかく描く!なにがなんでも絶対完成させる!などと日々言わせてもらっておりますが、価値観や美意識の強要はしないようにしてノビノビかつガツガツやってもらうようにしているしているつもりです。

Q:昨今の学生アニメーションについて思うことは?

当時はアニメーションを制作している学生は少なかったのでいろんな友人に手伝ってもらえたのですが、今は基本一人でものすごい作業量をこなさなければいけないのでとても大変だと思います。でもその分、血と汗と涙の結晶として、とても純度の高い濃密で素晴らしい作品が生まれているのだと思います。

Q:現在のご自身の研究や創作について

肩書きである「アニメーション作家」らしい仕事をここんところ全然やっていないので
そろそろとは思っておりますが……。

Q:学生や、アニメーション制作を目指す人へのメッセージをお願いします。

パソコンやアプリケーション、あるいは教育環境の進化・発展で今や世界中で学生アニメーション作品が、質と量ともに爆発しそうな勢いで作られつつあります。そんなわけでもはや地球が土俵ですから地球規模で、魂を揺さぶったり、脳みそを占拠したり、網膜に焼き付いたりするような、未だかつて観た事ない激烈な作品を作ってほしいと思います。(口で言うのは簡単ですが)