ICAF実行委員会は、幹事校5校のアニメーション教育に携わる先生で組織されています。
そんな先生たちにも学生時代がありました。
先生方が自らを振り返りながら、今の学生へ贈る言葉です。
(*内容は掲載当時のものです)
細川 晋/東京工芸大学アニメーション学科 准教授
多摩美術大学グラフィックデザイン学科、同大学大学院修了。ストップモーションアニメーションを専門に制作している。日本アニメーション協会理事。
*写真は学生当時。
Q:アニメーション制作を志したきっかけについて
全くの偶然で、まさかアニメーションを作っているとは、過去の自分は思いもよらないはずです。3年生の時の課題で思いついたアイデアが実写では不可能だったので、そこでストップモーションの手法を選択しなければ、今こうしてやっていたかは分かりません。子供の頃から映画は好きで、何となく撮り方は知っていたから、どうにかやってみたら思ったより自分のスタイルにはまったという感じです。
Q:出身校を選択した理由は? *多摩美術大学出身
受験の年にCMディレクターの中島信也さんが教員になる*と知ったことと、CMやデザインにも興味があったのでタマグラに入学しました。
*現在は退職。
Q:在学中に頑張っていたことは?
成績はさておき、課題はそこそこちゃんと出してました。グラフィックデザイン学科に入っても何か物としての「作品」を作りたかったので、色々思いついたら作っていました。あと予備校で教えるのは楽しかったし、結局ずっと先生業をやっている気がしなくもない。
Q:学生当時の作品について
1、2年頃はイラストとか、紙工作とか色々手を出していました。2年の途中でスチルカメラやビデオカメラを買って以降は、写真を撮って暗室作業をしたり、友達に出演してもらって遊び半分の実写ものを撮ったりしていました。ただし実写では物語を考えてもそれを具現化するのが大変なので、描き溜めていたイラストで手描きアニメーションを2、3作作ってみたけれどピンと来ず、3年の課題でストップモーションをやって以降、そればかりになりました。
*画像は3年次CM課題より
Q:ご自身とICAFについて
ICAFには院生時の2003年と修了後の2004年に2回参加しています。
でも当時は(多分今の学生の中にも同じ感覚の人はいると思いますが)、上映されるという事に対して「嬉しい」よりも、その日に会場に行かなければいけない事に対して面倒だなぁと思っていました。極端に言うと「選んだのはそっちだから、後は宜しく」という気持ちも少しはあったと思います。
思い返せば相当ひどい。
今は学生に対して行くように促しているけれど、そう感覚が変化したのは、「作品を作りたいから作る=ただ作ればそれが楽しい」から、映像作品は上映(放送)の裏で多くの人たちの協力が必要な事や、見てくれる人たちへの感謝を仕事などをする上で実感したからだと思います。
Q:アニメーションを指導する教員として心がけていることは?
なるべくそっとしておくこと。
ただしそっとしすぎた結果、もうちょっとなんだけどなぁと思う事が多いので、最近考え中。時間が純粋に与えられた時の行動は、本人の意識、意欲が如実に出ると思います。だからそこは先生が監督するべきではなく、自分でするべき事を考えてほしいと思ってます。
Q:昨今の学生アニメーションについて思うことは?
学生作品は内面の脆さを表現している作品が多いかな。それが人を引きつける要素だと思います。一方で外交的な作品は、自身の経験の裏打ちがないからかもしれないけど、表現に対して淡白すぎると感じる事があります。それっぽい感じで終わってる作品もある。でも凄い作品は本当に凄いレベルに達するので見ていて楽しいですし、負けちゃってるなぁと..。他者と比較をする必要はないけれど、自分のやりたい事に関しては、極めてどん欲であってほしいし、凄い作品に対しては諦めより挑む気持ちでいてほしいと思います。
Q:現在のご自身の研究や創作について
ずっと1つの作品を断続的に制作中なので、早く完成させたい。
完成させないと色々な面で意識が止まったままになってしまうので、良くないなと思ってます。
Q:学生や、アニメーション制作を目指す人へのメッセージをお願いします。
まだ自分自身も途上だと思っているし、どんどん出てくる才能に抜かれっぱなしですが、抜き返せるよう頑張ります。