ICAF実行委員会は、幹事校5校のアニメーション教育に携わる先生で組織されています。
そんな先生たちにも学生時代がありました。
先生方が自らを振り返りながら、今の学生へ贈る言葉です。
(*内容は掲載当時のものです)


和田敏克/東京造形大学教授:アニメーション専攻領域

1966年福岡県生。早稲田大学法学部卒。91年電通プロックス入社。
96年より独自の切紙手法を用いたアニメーション制作を開始。NHKプチプチ・アニメ『ビップとバップ』は仏アヌシーほか多数の国際アニメ映画祭に入選、受賞。荒井良二原作『スキマの国のポルタ』では文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞する。
ベテラン作家九人とともにアニメーション創作集団を結成、<プラスワン>として参加する。同集団は2004年以来、コンスタントに自主制作とその上映活動を続け、2010年、第1作『TOKYOファンタジア』が東京国際アニメアワードグランプリを受賞。最新作は、2011年の第4作目『tokyoSOS』。
その他実写作品として、連句アニメ<冬の日>第二部『冬の日の詩人たち』構成・演出など。

*写真は学生当時


Q:アニメーション制作を志したきっかけについて

中学生の時に、おかだえみこさんと鈴木伸一さんがアニメージュに連載していた「アニメ塾」を読み、見るだけだったアニメーションを自分で描いて動かせるんだという意識が生まれました。そしておかださんが紹介していた岡本忠成さんの「虹に向って」を日仏会館で行われたパペットアニメーショウのリバイバルで鑑賞した影響が大きいです。

Q:出身校を選択した理由は? *早稲田大学法学部出身

漫画家に憧れていたけれど、高校時代に自分の絵ではプロになれないと思いあきらめてしまいました。そのため自分で作る方向には進まず、洋画の配給をやってみたいと思いました。早稲田の法学を選んだのは、法律は言葉遊びだから卒業出来ると思ったので。

Q:在学中に頑張っていたことは?

高田馬場のアクトミニシアターに通って、たくさん映画を見ていました。小津安二郎監督、成瀬巳喜男監督の映画が好きで、やはり映画が作りたいと思ったこと、漫画は机の上で「映画」が作れる感覚があり、長編ではなく短編映画ならそれに通ずることが出来るのではないかと考えたことから、岡本忠成さんの作品を多く制作していた電通映画社(当時電通プロックス)の短編部門の演出部に入社しました。

Q:学生当時の作品について

アニメーションはプロのディレクターになってアミーガ(*)と出会い、それを使える企画を出して作ったのが初めてで、学生当時はマンガを描いていた事はあるけれどアニメーションの制作はしていません。
*アミーガ(Amiga)は、90年代初頭に強力なグラフィック性能から映像制作社に重宝されたコンピュータ。

Q:アニメーションを指導する教員として心がけていることは?

やりたいことがあるんだったら、絶対やってみればいいと思っているのでしっかりやってもらう。つまらないアイデアかもしれないけど、一回やってみるしかないので、あまり止めない事を大事にしています。

Q:昨今の学生アニメーションについて思うことは?

上手い事が当たり前になってきていて、「こんなものを動かしてしまったのか!」というような下手なものが減ってきたのが、ちょっとつまらないかもしれない。

Q:現在のご自身の研究や創作について

ベテランアニメーション作家9人との自主アニメーション制作(G9+1)が今は主体になってます。その活動とは別に、今後は児童文学をベースに短編作品を作りたいと考えています。

Q:学生や、アニメーション制作を目指す人へのメッセージをお願いします。

お互い頑張りましょう。