ICAF実行委員会は、幹事校5校のアニメーション教育に携わる先生で組織されています。
そんな先生たちにも学生時代がありました。
先生方が自らを振り返りながら、今の学生へ贈る言葉です。
(*内容は掲載当時のものです)


陣内利博/武蔵野美術大学教授:視覚伝達デザイン学科

1955年福岡県生まれ。「みること」「みせること」の歴史的・科学的な検証を通した、映像・展示・データベース・検索システム・ネットワーク構築などこれからのヴィジュアルコミュニケーションのあり方の研究。’80年代はインターネットの前進であるビデオテックスの開発と普及に関わる。’90年代は大型映像機の設置や番組制作に関わり、主に’92年セビリア万国博覧会(スペイン)日本館の展示企画、新千歳空港館内CATVシステム企画などを行う。現在はアニメーションやドキュメンタリーなどの映像制作、互いに知恵を共有する場としての展示計画、フェスティバルの企画運営を通して人々との関係づくりを行っている。


Q:アニメーション制作を志したきっかけについて

専門は視覚伝達デザインです。「みること」「伝えること」と「デザイン」を考えていく学問です。絵画、文字、本、写真、映像、アニメーション、空間まで、人が必要とするコミュニケーションの道具全てが研究対象です。最近気が付いた事ですが、人と一緒に盛り上げていく祭り好きが昂じてこの道に進んで来たようです。このICAFもとても意味ある「祭り」ですね。

Q:出身校を選択した理由は? *武蔵野美術大学出身

今から40年前、当時の若モノ達は生意気だったと思います。少なくとも受験生の時、目の前の競争にかまけて、先人達の仕事を無視していました。どんな作家、あるいはデザイナーになりたいの?と聞かれても現役作家達には興味がなくて、「ダ・ヴィンチ」と答えていました。

Q:在学中に頑張っていたことは?

芸術祭と予備校講師。お祭り好きは夏には南の島の子ども達を歓迎するパーティを催すボランティア活動、芸術祭を乗っ取るような大イベントを企画実施していました。予備校はそのための資金稼ぎだったかな。

Q:学生当時の作品について

芸術祭で、教室の四角い空間での講演や演奏や上演から脱皮したく、ドームを建てて様々なイベントをやりました。卒業制作も簡易型シアターの制作と活用でした。残念ながら、この時代のプロジェクションはスライドショーか8mmフィルムでした。

Q:アニメーションを指導する教員として心がけていることは?

それぞれの大学は、個性的な教員が多彩な授業とコンセプトで学生達と接しています。ICAFではそこで育ったユニークな学生の生み出す作品に出逢える場です。
ICAFも10年を超えて(*掲載時)ますます存在意義が深まっていると思います。

Q:昨今の学生アニメーションについて思うことは?

いつも、学生達の取り組みには注目しています。新しい技術やメディアの進化もさることながら、その時代の今を見せてくれる学生作品と出逢えるICAFだから価値がいっぱいあります。もっともっとみんながアニメーションの語り部になってくれると嬉しいですね。

Q:現在のご自身の研究や創作について


「複眼体験」というシリーズの作品で「みること」を探求しています。老若男女さらに国内外を問わず、今は「モノガタリ考」というワークショップを展開しています。こうした活動は日本アニメーション学会などで随時発表しています。

Q:学生や、アニメーション制作を目指す人へのメッセージをお願いします。

作品を「みせる」事、そのための場づくりの体験を積極的にやってみてください。失敗を恐れない若者達の明日に期待します。